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columnコラム

精神科の治療とご家族のかかわり方

2025/09/12

こんにちは、札幌カウンセリングオフィス雪花(札幌市琴似、北区、東区、西区、白石区と、その他の区)の菅原奈緒(臨床心理士・公認心理師)です。

当オフィスでは成人(18歳以上)の方を対象としておりましたが、【お知らせ】にもありますように、2025年8月1日(金)より、ご利用対象年齢を「高校生以上(概ね16歳以上)」に拡大いたしました。

それを受け、今後はコラムでご家族向けの内容を掲載してまいります。今回はまとまった説明を受ける機会のない、子どもの精神科の治療での家族のかかわり方についてです。

1. 精神科の治療の柱

まず、精神科での治療は、大きく分けて次のようなものがあります。

  1. 診断と薬物療法
     必要に応じて診断が行われ、症状をやわらげるための薬が処方されます。
  2. 療養
     休養や睡眠、生活のリズムを整えることが大切です。
  3. 環境調整
     学校・職場・家庭などの負担を軽くし、本人が過ごしやすくする工夫をします。
  4. リハビリや薬以外の療法
     カウンセリング、療育、年齢によっては作業療法なども行われます。

2. 治療と「人生の課題」

精神科の治療は、まずは 症状に対処すること が基本です。
ただし、症状の背後には、その人が色々な事情で抱えている課題や、長年の人生の問題が結びついていることが少なくありません。

症状が落ち着いてくると、そのような自分自身の課題に向き合う必要が出てくることもあります。

3. 思春期・青年期の難しさ

思春期から青年期の治療はさらに複雑です。

  • 成長の途上にあり、「自分はどのような存在であるのか」「自分はどう生きるか」という問いを抱き、その答え探している途中です。
  • 年齢的には大人でも、判断力や自己理解はまだまだ発展途上です。大人の助けを必要とすることもあります。
  • それでいて、周囲からは「あるていど、自立した大人としてふるまうこと」を期待されますが、本人にとっては重荷になることもあります。

4. ご家族の苦しさについて

治療と成長の課題という大きな仕事に同時に取り組むお子さんを、長く支えてきたご家族が「もう限界だ」「距離を置きたい」と思うことと、そういう思いを抱くことが「親失格だ」という罪悪感に苛まれることも少なくありません。

そのようなしんどさを抱えて、ご家族が心身の調子を崩されることもあるでしょう。

また、お子さんの力を信じるからこそでもありますが。ときには 子どもの現実に合わない期待を抱いてしまうこともあります。
それはお子さんののみならず、かえって親御さんご自身を苦しめてしまうことがあります。

5. ご家族にできること

  • お子さんは親(養育者)とは別の独立した人格です。
  • カウンセリングは「親が願う変化」を実現する場ではなく、お子さんご本人が自分自身の課題に取り組む場になることが多いです。
  • ご家族は、ご自身がお子さんの現実の姿と状態をどう受け止めていくかを整えていくことも、大切になる場合があります。

どこかを支えにしながら

そういった場合は、ご家族自身の苦しさを支えるような時間や場が必要となることもあります。

  • つらい思いを抱えていることを、安心して語れる場所であること
  • 「子どもに変化を期待する気持ち」と「現実の子ども」との間で揺れる気持ちを整理できること
  • 少しずつ、子どもの現実に合った見守り方を一緒に考えていけること
  • 子どものことに思い悩まされる以外の、時間や場所を持てること

そういった場として、雪花のようなカウンセリングオフィスを、まずご家族がご利用されるという方法もございます。

まとめ

精神科の治療は症状への対応が基本ですが、その先には人生や成長の課題が出てきます。ご家族が「子どもに期待を抱くこと」は自然なことですが、互いの苦しさを増してしまうこともあります。

支えや休息や楽しみを持ちながら、ご自身の気持ちを整理し、現実に合ったかかわり方を探していきましょう。そういった場の一つとして、雪花をご利用いただくこともできます。

ご家族がご自身をすり減らしてしまうのではなく、支えや休息や楽しみを持ちながら子どもの成長を見守る ― それが、遠回りに見えても子どもの自立につながっていきます。

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