columnコラム

臨床心理士と公認心理師の資格について

2023/03/08

こんにちは、札幌市西区琴似で3月22日から開所予定の「札幌カウンセリングオフィス雪花」の、臨床心理士・公認心理師の菅原奈緒です。

 前回は雪花の由来についてお話ししました。今回は、私の所持する資格についてお話ししたいと思います。「雪花について」にもあるように、私は臨床心理士と公認心理師という資格を所持しています。どちらも本邦における心理専門職の代表的な資格です。

他の代表的な資格として、産業カウンセラー、学校心理士、臨床発達心理士、特別支援教育士、認定心理士などがあげられると思います(私は認定心理士でもありますが、ここでは取り上げません)。

少し複雑な話になりますが、本邦では上記のような資格を所持していなくとも心理カウンセラーを名乗って活動することが可能です。どの資格もそれぞれに専門性をもち、一定の基準を満たさなければ取得することはできませんが、心理的な支援を独占して行うものではないからです。

わかりやすい例をあげると、業務独占資格に該当するものとして医師があげられます。医師法の第十七条には「医師でなければ、医業をなしてはならない」とあります。業務独占資格は同時に名称独占資格でもあるので同法の第十八条には「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」とあります。

公認心理師は2017年施行の公認心理師法により定められた名称独占の国家資格です。生まれてから10年に満たない若い資格です。今後、本邦における心理専門職の代表となるでしょう。第二条に「公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者。」と定められています。(1)~(4)が「次に掲げる行為」です。

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析

(2)心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助

(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助

(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

 また、「よくある質問」にもありますが、公認心理師法第42条第1項には関係者との連携の義務、2項には心理的な支援において主治医のいる場合はその指示を受けることが定められています。

臨床心理士は1988年に資格認定がスタートしました。民間資格で、内閣府が認可する「公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会」が資格認定を行っています。臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間のこころの問題にアプローチする心の専門家です。臨床心理士資格審査規程第4章の第11 条にその業務は「臨床心理士は、学校教育法に基づいた大学、大学院教育で得られる高度な心理学的知識と技能を用いて臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域援助及びそれらの研究調査等の業務を行う。」と規定されています。

(1)臨床心理査定 種々の心理検査と、面接や行動観察などさまざまな手法を用いて、査定をされる人の独自性、その人固有の心の状態や問題の背景を評価し、その人をどのように支援することが望ましいかを検討します。ここでは他の専門家とともに検討を行うこともあります。

(2)臨床心理面接 臨床心理士とクライエント(相談を依頼された方)との人間関係が構築される過程のことで、クライエントの置かれている状況や抱えている問題や特徴に応じたさまざまな臨床心理学的技法を用いて、クライエントの心の支援に資する臨床心理士のもっとも中心的な専門行為です。

(3)臨床心理的地域援助 特定の個人だけでなく、地域や学校、職場といった場に所属する人々の心の健康、地域住民の被害への支援活動を行います。個人のプライバシーを守りながらのコミュニティの情報整理や環境調整を行うことでもあります。また、コミュニティや集団に対して行う専門的な情報の提供や提言も含まれます。

(4)上記の(1)~(3)に関する調査・研究 上記の実践についての技術や知見を確実なものとするため、臨床心理的調査や研究活動を行います。

 資格を取得すればそれで終わりということはなく、よりよいサービスを提供できるよう専門職は研鑽を続ける必要があります。私は、時々上記の法律と規定を読み直し、基本に立ち返るようにしています。心理専門職として、病院臨床から私設心理相談に職域を移し、また基本に立ち返ることが必要だと思う春です。

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