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精神疾患による休職と復職について②
2024/07/04
こんにちは、札幌カウンセリングオフィス雪花(札幌市琴似、北区、東区、西区、白石区と、その他の区)の菅原奈緒(臨床心理士・公認心理師)です。
シリーズ『精神疾患による休職と復職』は、その当事者となることで初めて知ることがほとんどのことがテーマです。
『精神疾患による休職と復職➀』では、診断がされた後の休職の手続きについてまとめました。
今回のコラムでは、心の健康が損なわれ、療養のため休職が必要となったときのことについてお話しします。
精神疾患の治療と療養
➀でも述べたように、精神疾患は、脳の機能的な障害や器質的な問題から生じる、精神的な疾患の総称です。2013年度から、癌、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と並んで5大疾病の一つとなりました。
5大疾病の一つとなったというのは、それだけ私たちの生活にとって身近で、発症した場合に生活に大きな影響を及ぼすものだということです。
病状の程度にもよりますが、治療の経過において長い療養期間と必要とする場合もあります。
以下は、精神疾患の治療の三本柱と呼ばれるものです。
- 薬物療法
- 休養
- 精神療法(心理療法)およびリハビリテーション
この三本柱について、雪花では次のように説明することが多いです。
「薬物療法における薬の処方は医師が行います。医師だけでなく、薬剤師さんにも、処方されたお薬について質問や相談をすることもできます。そして、精神療法は、主治医の治療の方針によって、診察とは別に通院先で医師以外のスタッフが担当して行われることがあります。医師が行うこともありますが、診察時間内なのでご本人にしてみると短時間と感じられることが多いです。リハビリテーションについては、院内にそのための施設がある場合とそうでない場合とがあります。いずれにしても、あなたの置かれている状況、病状、希望を踏まえて、主治医と話し合い、合意のもとに治療が行われます。そして、最も大切なのが身体疾患の治療と同様に休養です。負担なる仕事や家事などから離れ、心身をしっかりと休めます」
もちろん、薬物療法とは、精神療法(心理療法)とは、リハビリテーションとは、と、それぞれについても説明しますが、それはまた別の機会に。
また、これもまた別の機会にお話ししますが、自宅療養をしながら家事から離れるのはかなり難しいことです。
その説明の中で、お仕事をされていて『治療のためにはある程度の期間、療養が必要かもしれない』という話が出ている方には、次のようなこともお伝えします。
「また、必要に応じて、療養(病気を治し、健康を回復させるために心身を休めること)や環境の調整(生活環境を整え、日常生活を調整する)が主治医から提案されることもあります。あなたが『必要だと思う』と、希望することもあるでしょう。療養の期間によっては休職という選択肢も出てきます」
多くの場合、まずは残っている有給を消化してから、休職の手続きをとることになります。
「療養のための休職をせずに、治療を受けながら仕事をすることはできないのか?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。そういった経過をたどる方もおられます。
しかし、精神疾患は再燃(よくなってきていた症状が再び悪化すること)や再発(いったん寛解して一定の期間を過ぎたのちにまた発症すること)を繰り返しやすいです。しっかりと治療をして、再発が予防できるような生活の仕方を身に着けていけるよう、療養のための休職が必要な時もあるのです。
休職期間は仕事をしない
休職期間中は、会社から本人に『仕事のことで』連絡をとらないことが望ましいです。
職場にしてみると『復帰した時に困らないように』『休養に専念してもらえるように、きりのいいところまで自分の仕事をしてもらいたい』『本人にしかわからないことがあり、連絡はとれないと困る』など、何かしら事情はあるでしょう。
しかし、病気休業期間中は本人が安心して療養に専念できるように、
・休業の最長期間を伝えておく
・職場から刺激になるような連絡を不用意にとらない
・復職の基準と手続き
・傷病手当金などについて説明する
・休職後の、診断書や必要な書類の受け渡しの方法
などの配慮と情報提供をすることが必要です。
逆に考えるなら、本人は安心して療養ができるように、上記の配慮や説明を求めることができるのです。
次回のコラムでは、職場復帰支援制度のことを取り上げます。