columnコラム

精神疾患による休職と復職について➀

2024/01/24

こんにちは、札幌カウンセリングオフィス雪花(札幌市琴似、北区、東区、西区、白石区と、その他の区)の菅原奈緒(臨床心理士・公認心理師)です。

さて、年が明け、1月も下旬に入り、道内のあちこちで大雪がみられるようになりました。   
【冬季うつとは】にもあるように、日照不足や寒さや雪でストレスを感じ外出しにくくなる時期です。また、体調を崩しやすいときでもあります。

今回のコラムでは、心の健康が損なわれ、療養が必要となったときのことについてお話しします。

精神疾患とは

精神疾患は、脳の機能的な障害や器質的な問題から生じる、精神的な疾患の総称です。心の病、精神病ともよばれます。そして、精神疾患によって、日常生活や社会参加に困難をきたす状態を、精神障害といいます。
2013年度から、癌、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と並んで5大疾病の一つとなりました。これにより、地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込まれることとなったのです。その背景には、職場でのうつ病、高齢化に伴う認知症患者数の増加などがありました。

もちろん、精神疾患と診断される=休職ではありません。治療をしながら就労を続けられるケースも少なくありません。ただ、療養のために休業することが必要になったときのために、制度について知っておくことは無駄にはならないでしょう。

休職制度は法律で定められてはいない

まず、休職について説明します。
休職とは、以下の条件を満たしているときに利用できる制度です。

  • 労働者の側には働く意志がある。
  • 業務外のケガ、病気、ボランティア活動や留学、生活状況などの自己都合により(会社都合の場合も)、長期間働くことができない。
  • 雇用契約は維持したまま、一定期間就労義務を免除する。

長期間働くことが難しくなった場合、解雇を猶予するための措置です。これは会社ごとに定められており、法的には休職制度がなくとも問題はありません。休職が必要な状態になったときは、まずは就業規則に制度が定められているかを確認する必要があります。

制度がない場合は、就業が困難となった時点で解雇や退職となる場合が多いです。また、休職期間満了後に復職ができない場合は、法的には労働契約が終了となります。
本題からはずれますが、就業規則をじっくりとご覧になったことのない方は、何かの機会にお目通しされることをおすすめいたします。

休職の手続き

次に、休職の手続きについてです。ここでは、厚生労働省のHPで紹介されている【心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~】などを参考に、休職の手続きを説明します。一般的な流れについて書いているので、会社によって異なることもあります。

  1. 就業規則に定められた休職制度の対象となるかと申請方法などを確認。 
  2. 医師に診断書を作成してもらう。 
    →初診で依頼する場合は、発行まで時間がかかることもある。
  3. 労働者からの診断書(病気休業診断書)と休職届の提出。
    →診断書には、労務不能の理由と療養を要する期間が記される。
  4. 休職の可否と期間の決定、休職辞令の発行。
  5. 休職開始。

1~3までの手続きを踏んだ後は、会社から休職可能期間、休職中の給与の有無、社会保険料の扱い、復帰時期やその手続きなどについてが記載された書面が渡されるのが一般的です。そこで、引継ぎや復職時のことについて、上司と面談がされることもあるでしょう。さらには、休職中の連絡の窓口の確認も重要です。
また、会社の規模によって産業医がいるときは、産業医との面談があります。休職中の過ごし方についての指導などのためです。

休職期間と傷病手当金について

そもそもですが、休職期間は会社によって異なります。会社によって3か月~3年程度。平均して半年~1年が多く、最長でも2年までとする会社が多いようです。これは、最初からまとめてとることを決められてはおらず、症状の重さや休職を開始してからの回復の度合いによって、延長されることもあります。

また、休職中の労働者には、原則として給与を支給する必要がありません。これは労働基準法第24条と民法第624条が根拠となるとされます。
ですが、次の4つの条件を満たしているときは傷病手当金が給付されます。

  1. 業務外のケガや病気のための休職である。
  2. 就労できない状態である。
  3. 連続する3日間を含む4日以上労働ができない状態である。
  4. 休職中に給与が支払われない。

その期間は、支給開始日か通算して1年6か月です。また、支給されるのは健康保険の被保険者で、被扶養者には原則支給されません。
このあたりのことで不明な点や気になることは、必ず会社の担当者に確認するようにしましょう。

休職期間をどう過ごすか

ここまでを読まれて「必要に迫られて、休まざるを得ない状態で、これだけの手続きをしなくてはいけないのか」と思われた方もおられるのではないでしょうか。まったくその通りです。

精神疾患は、うつ病や統合失調症など、以前よりも名称は知られるようになってきました。ただ、症状やそれにまつわる苦労、治療や療養の仕方などについてはまだまだ理解が得られているとはいえません。
そのため、実際に精神疾患を発症した場合、がまんにがまんを重ねて限界を超えた状態でようやく休職される方も少なくないのです。

やっと休むことができたと安堵しながら、自分の病気や将来がどうなっていくか先が見えない状況であることで、不安を抱くこともありえます。精神疾患による休職と復職について②では、そのような休職期間の過ごし方についてお伝えしたいと思います。

雪花では復職支援のカウンセリングも行っております。病状や天候などで外出がままならず、開始を迷われる方には、オンラインカウンセリングをおすすめいたします。ご検討下さい。
休職期間の場合は、主治医の先生がおられることと存じますので、ご相談の上ご予約下さい。

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