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北の暮らし その7 冬を告げる雪虫と、季節の変わり目のケアについて
2024/10/30
雪虫とは
こんにちは、札幌カウンセリングオフィス雪花(札幌市琴似、北区、東区、西区、白石区と、その他の区)の菅原奈緒(臨床心理士・公認心理師)です。
シリーズ『北の暮らし』も7回を迎えました。今回は冬の到来を前に、季節の変わり目を知らせる不思議な生き物のお話をしたいと思います。
2024年の秋分の日は9月22日日曜日でした。秋分を過ぎると、日照時間が1日平均約4分短くなるそうです。その分だけ、日の入りは早く、日の出は遅くなっていきます。いわゆる秋の夜長です。このように季節の移り変わりを、暦の上での数字だけでなく五感で感じられる時期になりました。
さて、そこから約一か月、北海道は早くも冬の足音がきこえてきています。雪虫(ゆきむし)が冷たい空気の中、その姿をあらわしました。そして札幌管区気象台からは、2024年10月20日に札幌市の手稲山で初冠雪の観測が発表されました。平年より2日遅く、昨年より3日遅い観測です。
雪虫は幻想的な名前と姿をしていますが、実在の生き物です。トドノネオオワタムシというアブラムシの一種で、体全体に白い綿のような物質をまとっています。空中を飛ぶ姿が、その名の通りまるで雪が舞うかのようです。また、雪虫が出現すると、その1~2週間後に初雪がふるとされています。まさに冬の使者です。
季節の変わり目と心身のケア
色づく木々。澄んだ夜空とそこに浮かぶ名月。食欲をそそる旬の食材。秋晴れの日の行楽。秋だからこそ楽しめるものは多くあります。
一方で、先に書いたような冬の訪れを感じさせるものも少なくありません。雪虫が現れるのは、ちょうど、秋から冬への季節の変わり目です。
秋から冬にかけて、気温は急激に低下、日照時間も減少します。コラム【冬季うつとは】でもお話ししましたが、この変化は心身に影響を及ぼすことが多く、心や体の調子が不安定になりやすいのです。
寒さは体を冷やし血行をわるく、身体を固くします。日照時間が短くなればセロトニンやメラトニンのバランスに影響します。
総じて、心身の不調が起きやすい時期だといえるでしょう。ですから、雪虫のような日々の生活の中で自然にあらわれる季節の変わり目のサインを読み取り、冬支度とともに、日常生活の中で少しずつ不調を和らげてくれるような、過ごし方、ケアをすることが大切です。
生活リズムを整えて日光を浴びる、温かい飲食物をとるようにする、軽い運動をかねて外出をするようにする、などがあげられます。また、ケアの方法の選択肢として、カウンセリングをご検討される方もおられるかもしれません。
雪虫の生態
雪虫は、まだまだ謎の多い生き物だそうです。
北海道大学 大学院農学研究院 生物資源科学部門 昆虫体系学研究室 秋元信一名誉教授は、30年以上、雪虫の研究を続けられています。
秋元先生によりますと、雪虫には白い綿のついたのと、綿をまとっていないのと、2つのタイプがあるそうです。そして2023年に大量発生したのが後者。2024年は白い綿をまとった方の雪虫が大量発生すると、予測されています。ちょうどこのコラムを書いている10月末が最盛期になるのだとか。アップするころには落ち着いているでしょうか。
その命はたいへんに儚いものです。北海道在住の方はご経験がおありでしょうが、私たちの身体とぶつかったり、手で軽くはらうだけでも・・・。
ただ、その儚さの中にもすごい能力を秘めてもいるそうです。雪虫はこの時期、産卵のためヤチダモの木を目指し移動します。その際には、人間には感じられないような木の香りを、触覚でかぎ分けて移動するのです。
雪虫は複数回の単為生殖(メスがメスを産む)を繰り返し、羽の姿でコロニーをつくって春から秋を過ごします。わたしたちが目にする飛び回る姿は、産卵のために移動をしているのです。産卵の前には雄とメスが産まれますが、どちらも生殖を終えると卵を残してその命を終えます。
また、雪虫は大量発生すると、人間にとっては目や口に入ると不快な思いをするものとなります。樹木に害を及ぼすこともあります。一方で、エゾリスや鳥にとっては貴重なたんぱく源ともなります。実は生態系を支えているのですね。時に雪害を起こすこともある雪が、貴重な水源や観光資源になることが思い起こされます。
12月以降の雪花の開所時間
【お知らせ】にもありますように、安定したオフィス運営ができるよう、12月~3月にかけ雪花の開所時間は『冬時間』となります。1日あたりのご予約可能な枠の数には変更はございません。ただ、枠の時間帯が通常とは変わっています。詳しくは【カレンダー】からご確認ください。
春までご迷惑をおかけいたしますが、みなさまが厳しい冬を超えられるよう利用されるオフィスの環境をしっかり整えておきたいと思います。